フランス流、母の日の過ごし方。クスミティーと祝う、彩り豊かな日曜日

フランスの母の日とは

5月の爽やかな風が吹き抜ける頃、フランスでは「Fête des Mères(フェット・デ・メール)」の準備が始まります。

日本の母の日よりも少し遅く、5月の最終日曜日に祝われるこの日は、フランス人にとって家族の絆を再確認する、何よりも大切な「日曜日のランデヴー」です。

母の日の歴史:守りたかった、温かな家族の形

フランスの母の日の起源は、実は19世紀まで遡ります。

当時、出生率の低下に悩んでいたフランスで、多くの子供を育て上げた母親たちを称えようという動きから始まりました。1906年には、大家族の母親たちを表彰する独自の式典が行われるようになります。

その後、第一次世界大戦を経て、1950年に正式な法律として「母の日」が制定されました。

かつては「国や家族のために尽くす母への敬意」という少し厳格な意味合いもありましたが、今では「いつも自由で美しくいてくれてありがとう」という、フランスらしい個人の幸福を願う温かなイベントへと形を変えています。

フランス流の贈りもの:花束と、家族で過ごす時間

フランスの母の日、街のフローリストは溢れんばかりの芍薬(シャクヤク)やバラで彩られます。

そして、何よりも喜ばれるギフトは「家族全員で過ごす時間」です。

この日のランチやディナーは、いつもより少し贅沢に。お母さまを台所仕事から解放し、家族が腕を振るったり、とっておきのデリを用意したり。美しく整えられたテーブルで、ワインを傾けながら何時間も会話を楽しむ――。フランス人にとって、この「共有される時間(Moment de partage)」こそが、最高のお祝いなのです。

デザートの後、おしゃべりの余韻を楽しみながら淹れる一杯の紅茶。そこには、家族の笑い声とクスミティーの華やかな香りが満ちています。